ハンガリー医学部に興味を持つと一番最初に気になる関門、予備コースの入試。ネット上でも「思ってるより簡単だよ」、とか「倍率高いよ」とか、どっちだよ!ってなる情報が溢れていますよね。私自身も自分が受験する前に何を信じていいのかわからず困っていたので、ハンガリー医学部の予備コースの受験を考えている方の参考になればと思い、当時のメモを参考に記事にしました。
予備コースの入試とは
そもそも予備コースって何?って方はこちらへ↓
予備コース入試は、ハンガリー医学部予備コースで学習するのに十分な学力や素養を持っているのかをはかる試験で、斡旋業者であるHMUによって日本で、日本語で、受験することが可能です。
私が受験した当時は、8月から1月は月一回の受験機会があり、日本の受験シーズンと被る2,3月は複数回受験機会があります。定員割れした場合は3月4月に延長で募集されることもあるようです。また、もし前半で落ちてしまっても全部で3回まで受験できるかたちだったと記憶しています。
大阪や沖縄に住んでいた同期に聞いたところ、試験会場は東京・新宿のみで予備コース受験のために上京して受けたそうです。
問題の難易度も受験する時期によって若干変動があるようなので、以下は2021年10月受験時の問題内容として参考にしていただければと思います。
入試の構成
スケジュール
時間はあんまり覚えてなくてなんとなくです…
9時頃:理科2科目筆記試験
10時頃:英語試験
13時頃:筆記試験結果&面接時間張り出し
14時頃:面接開始(自分の面接時間まで待機)
16時頃:面接修了(終わり次第帰宅)
理科2科目(45分)
私は生物・化学選択だったのでこの2つについて書きます。
生物20問
化学20問
4〜6択くらいの選択式。2科目同時に問題が配られて2科目合わせて45分の試験時間になっています。なので試験時間内で科目を行き来することも可能です。
生物
聞かれるのは主に高校生物の基本事項ではあるものの、「意外とそんなこと考えたことないかも」って思うような聞かれ方をしている問題がところどころありました。植物系(光合成、進化、生態系)のことはほとんど聞かれなかったです(実際予備コースでも扱いません)。呼吸、心臓、肝臓、腎臓、など高校生物で聞かれる人体系のものについては基礎固めしておくのをおすすめします。
化学
化学は見るからに範囲外なのが4問。それらは勘で解きました(笑)内容としては「原子の軌道」です。
(個人的に予備コース入試のためだけに勉強する必要はないと思います。後述します。)
私が試験後に書いたメモには”単位変換、化学基礎周期表まわり、平衡の計算、後半有機”って書いてありました。ただ日本の試験慣れしてて驚いたのが、周期表が載っていたことです。せっかく見れるのでちゃんと見ましょう笑
英語(2時間)
英語の試験はTOEFL PBTをそのまま使った形式です。Listening, Grammer, Reading にセクションが分かれていて、すべて選択式です(マークシート)。
セクションごとに時間制限があります。たしかListening、Grammerが30分くらい。Readingが50分くらいだったと思います。他で時間が余ったからといって他のセクションを解くことはできません。
また、Listeningでメモを取るのが禁止なのが要注意です。英語力や試験慣れ度合いにもよるとは思いますが、時間がない!と感じたのでこだわらずにサクサク進めました。
こちらの英語の試験は、TOEFL iBTなどで一定の成績がもともとある人はそもそも受験免除にすることもできるみたいです。
面接
面接は、5人ほどの試験官の方(HMU事務局のお偉いさんです)を前にして一人ずつ呼ばれます。
外国人の試験官の方との英語パートと、日本語パートがあります。日本人面接官の4人の中で2人が基本のヒール役とサポート役で残り2人が書類ベースに補足質問役みたいに分かれていたので、全員から視点の違う質問がまんべんなく飛んでくる感じでした。
時間は合わせて20分~40分くらい?で短いなって人もいましたが自分はかなり長かった記憶です。
面接時間が張り出されてその時間までに試験会場に戻ってくれば外に出ていてもよかった記憶ですが、予定よりかなり押していた気がします。試験番号にもよりますが勉強道具などは持って行って損はないと思います。
実際に私が面接を受けた日に書いた問答メモを載せます笑
1つの質問に対して何を答えたかもざっくり書きましたが、一つの質問ごとに数回のラリーがあったものと想像してください。
英語面接(内容例)
ー挨拶を経てー
・調子どう?緊張してる?筆記試験どうだった?
→緊張してます。理科は自信あるけど、英語が自信ない。
・好きな教科は?
→家庭科かな(うちの大学料理しない人多いからいいね!って言われた)
・明日選挙だけど大事だと思う政策ある?
→うまく言えず…働く女性系。
・具体的な対策(政策)挙げられそ?
→うーん…(単語がわからな過ぎて説明できなかった)
・本とか映画すき?
→両方とも!
・どんなジャンル?
→ミステリー
・最近読んだ本のあらすじ教えて?
→ミステリーというかSFなんだけど、13秒間が世界から抜け落ちてその世界で生き延びる話(東野圭吾のパラドックス13)
・ハンガリーについてどんな印象?
→農業が強いイメージ、野菜とか日本より安いみたいだから料理したい!
感想
自分の英語力や立場に合わせて質問を選んでくれている感じがある、たぶんもっとすらすら話せる人は日本語面接で聞かれるようなこと聞かれてもおかしくない気がする。試験日の翌日に衆院選があって、自分は浪人生で選挙権があったから選挙について聞かれたのだと思う。
日本語面接(内容例)
・えー(書類を見て)、一人っ子だけどご両親はなんて?
→向いてるんじゃない?と前向きに考えてくれている
・ご家族は医療系?なんで医師目指してる?
→全然関係ない旅行系とIT系。人体の神秘に魅了されたから。(当時生物の免疫が大好きだったので語った、願書にも書いていた)
・いつごろから志望しだした?
→5月頃に父の勧めで知って、留学したいっていう気持ちと医学を学びたい気持ちを両方叶えられることに心ひかれたから
・来年受験を考えてる大学は?
→浪人を初めて一年頑張ると決めた以上最後までやるつもり。国際医療福祉大学とか考えてる。
・国立は?
→共通テスト出てから考えるつもり
・模試の判定は?
→去年はEで、今年もまだEです。
・外国の大学は入口は低いけど、EをCにするような勉強をし続けることになるけど大丈夫?
→やります。がんばります。
・免疫好きなあなたから見てコロナはどう?
→うんぬんかんぬん(mRNAワクチンについての誤情報の拡散とかについて話した)
・卵アレルギーは大丈夫?
→(経緯を説明して)全く食べられないわけではないので、生活に支障はないと思います。
・卵アレルギーのあるあなた的には免疫についてどう?大学入ってからどんな勉強したい?
→(アレルギー反応について細かく知ってたわけではないけど)自分の実体験から特定のタンパク質かアミノ酸が原因なんじゃないかって思ってるから、タンパク質について勉強したい。
感想
全体的に「ちゃんとやっていけそうなのか」を見られている質問が多く感じた。学習意欲だけでなく家族のことなどもその視点で聞かれている感じだった。同期に聞くと「圧迫面接で怖かった…」と感じていた子もちらほら。直前に受けた試験結果も手元にあるようで、試験について聞かれたって人も多かった。個人的には、理科の試験が良かったらしく褒められてる感じのムードだったので圧迫感は感じなかった。
で、難しいの?
※ここからは私の主観てんこ盛りです。
受験前の事前情報と対策
当時の主な情報源がYouTubeで発信されてる先輩のEugeneさんの動画くらいだったので、一応それに目を通しましたが予備コース入試としての対策はほぼしていません。
というのも当時は本当に真剣に日本の医学部に行くつもりで勉強していて、ここで落ちたら日本の医学部とか空言だなっていう感覚が強かったので、そのときしていた勉強をしていた感じです。
ただこの辺は本当に人によります。理転して受けなおす、とかって人だとかなり勉強して臨んだと聞きました。
もし理科の対策について、具体的に言うのであれば、一般的な大学入試の問題集で「基本問題」とついている問題までは確実に解ける状態にしておけば(これが意外と難しいんだけどね…)、先述した明らかに範囲外の「原子の軌道」の問題を捨てても問題ないと思います。私は生物は比較的得意だったので特別なことはしていませんが、化学は範囲によっては基本問題が危ういところがあり、どっちにしろ勉強すべきだったので、そこは優先的に勉強しました。
また面接に関しては自信がなかったので、聞かれそうだなってこと(なんで医師になりたい等)の内容は一応英語でも答えらえるように当日の移動時間やお昼休みに簡単にメモを作って呟いていました。
半分落ちてる…?
結構怖かったのが、筆記試験で半分くらい落とされていたことです。噂には聞いていましたが事実でした。筆記には24人分の席が用意されていて数席空席があって、面接受験者は10名でした。
憶測にはなりますが原因として考えられるのは、学力面だと英語が得意ではない、それ以外だと受かる気が無かったか時間配分などを大きく間違えてしまった、とかが主な理由な気がします。
まず英語に関しては、英語で勉強していくことになるので、正直基準は低くはないと思います。
体感の話にはなってしまうのですが、比較的英語は得意だったはず(偏差値60を切ることはないくらい)の自分でもあまり手ごたえが無かったことです。なので、街中で英語で話しかけれて頭が真っ白になってしまうほどだと厳しいと思います。とはいえハンガリー医学部に本気で行こうとしているとなると、それなりに英語に余裕がある人が多いのではないのでしょうか。
実際合格して同期や先輩たちと会ってみて予備コースをともにして思ったのは、今までの学習状況も環境もほんと人によるんです。自分が医者になりたいというより家系的にならなきゃいけないから仕方なくってひともいますし、周りより基礎学力がないって困っていた子もいます。そのひとたちみんな受かってここに来てるんですよね…。
ハンガリー医学部自体が不明瞭なことが多いのもあるので、親に言われて受けに来たけど自分は海外行きたくないから試験に手を抜くとかってことがあってもおかしくないんじゃないかなと思います。
なので、筆記試験で半分落とされてるからと言って、試験が難しすぎるだとか評価基準が高すぎるっていうわけでもないと思います。(年々ハンガリー医学部自体の知名度が上がってきて難易度が上がってる可能性もなくはないですが…)
医学部に入るのはかなり勉強しなきゃいけないことをわかってて、ハンガリー医学部に行く熱意が少しでもあって英語で勉強するのに必要な最低限の英語力があれば(最低でも理科系偏差値50近くはあって英検2級くらいはできるよ)って人なら、問題はないはずです。
おわりに
きっとこの記事を最後まで読んでくださった方は、予備コースの受験を考えていたり、すでに受験予定があることと思います。最後の章で述べた通り、普通に受験勉強してきていて英語がとても苦手とかでない限りは可能性は十分あると思います。3回受験できますし挑戦あるのみです、あまりビビらず堂々としていれば大丈夫です!応援しています!
今回の予備コース入試の内容ですが、2021年10月のもので、すでに2年半前になってしまっているので、最新情報が知りたい!などご要望があればコメントいただけたら、入ってきた後輩たちにインタビューして記事にしていこうと思います。
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