【1年生】看護研修をハンガリーで受けました!-体験談編-

ハンガリー医学部

ハンガリーの医学部1年生には二学期に必修の研修として看護研修があります。7月か8月を選んで1カ月間実際に病院で働く看護師さんについて看護業務を勉強します。今回ハンガリー受けた研修を通して経験したこと、感じたことをご紹介します。

研修内容、どんなことをするのかが気になる方はコチラ↓

ゆるい。

8月5日の朝。事前のメールでは持ち物と8時に待ち合わせ場所に集合と書かれていましたが…

待ち合わせ場所で待てど暮らせどそれらしい人が来ない…こういうの本当にうちの大学あるある(ハンガリーあるあるかも)で組織間の報連相が苦手なんですよね(笑)拙いハンガリー語でいろんな人に聞いて、指導医の名前を出したりなんだりしてやっとのことで指導医の先生に会うことができました。

指導医の先生は英語が上手でとても優しそうな方で、

「僕のときはクソみたいな研修だったから、できる限り良い研修にしてあげたいと思ってるよ。ただお互いにあまり期間が長すぎても夏休み短くなっちゃうから簡潔に行こうね」と言ってくださって…泣

なんて学生の立場に理解のある…!!!

先生が優しいのをいいことに同期の一人はもう一回日本に帰りたい!と一週間で先生にサインをもらって帰っていきました…

まあでもそれも納得というか、首から下の解剖学しかやっていないような一年生なんて素人同然でまったく使い物にはならないんですよね、むしろお荷物感満載というか、必要とされてないのが露骨なので、早く終わらせて問題がある感じでもないんです笑

なので私ともう一人の子もいつでも終われるつもりでいましたが、なんだかんだ長くいるにつれて顔見知りの患者さんが増えたり勝手がわかってできることが増えたりで楽しくなっちゃって、先生の指示で3週目までやりました。

ちなみに持ち物として聴診器を買うようにメールにありましたが、一度も使うことはありませんでした笑

印象的だった出来事

手術の見学

画像はイメージです

人生で初めて手術室に入りました…!専用の不織布のスクラブ(上下)と頭のカバーと靴カバーマスクをしてよく手を洗って入ります。脳神経外科ということもあり顕微鏡をつかった手術が多かったので術者の手元が手術室内のモニターで見ることができました。病棟やナースステーションは昔ながらな印象がありますが、手術室は最新テクノロジー感の強い設備でした。

腰椎の椎間板ヘルニアによる神経の圧迫を取り除く手術と脳腫瘍を取り除く手術を見学しました。総じて細かくて繊細ではあるのですが、大胆に行くところは大胆に、慎重に行くところは慎重に、という印象を受けました。

看護研修をしていると英語を喋れる人が多くないなと痛感するのですが、執刀されてる先生や助手の先生など医師の方は英語も喋れる方が多かったですし、まだ1年生しか終わってないからほとんどわからないものの、丁寧に解説もしてくださいました。全体的にお医者さんたちが先輩として接してくださってる感覚というか、来学期勉強すると思うよ~とか、気になることあったら聞いてね~とかとてもあたたかくて嬉しかったし、かっこよくて憧れました。

指導医の先生も執刀していて、それがすこぶるかっこよかったです笑
かっこいい感じの先生ではないのですが、いつも穏やかで朗らかでフラットで、その様子が手術室でも変わらず私たちに気づくと手を振ってくれる感じがとてつもなくかっこよかったです。

くも膜下出血の患者さん

ナースステーションに一番近い病室はケアが必要な患者さんのお部屋なのですが、ある日いままでに見たことのない頭にチューブが刺さってる患者さんがいました。

担当の医師がその抜管の様子を見せてくれて、何が何だかわかっていなかったのですが、処置が終わった後に解説をしてくれました。患者さんはSubdural heamatoma(くも膜下出血)でした。

くも膜下出血のイメージ

くも膜下出血は、脳を覆う三層の膜の隙間であるくも膜下腔に出血が起こった状態のことです。なので手術では出血している部分の頭蓋骨に穴をあけて膜の間に管を通すことでたまった血を外に出す処置をするそうです。
ただその処置の後、空洞を放置してしまうとまた同じことを繰り返すだけなので、その空洞にsaline(生理食塩水)を入れておき、脳が回復してもとの形に戻ると自然と生理食塩水が吐き出されるそうです。

なので最初に見たチューブはその生理食塩水が吐き出せる用のチューブだった、ということです。

くも膜下出血は比較的身近でよく聞く病気だし、”星野源がなったことあるやつ”という印象だったので、非常に興味深かったです。脳に関する勉強はこれから(2年生一学期)なので楽しみになりました。

退院していく患者さんたち

患者さんの退院はとても喜ばしいことなのですが、脳神経系は比較的術後の回復が早いこともあり、見知った顔の方が翌朝にいない…ということもよくあって少し寂しさを感じました。

看護師さんの生み出す空気感なのか病棟全体がわりとおおらかな雰囲気だったこともあって、患者さんたちも優しい方が多かったんです。患者さんとは基本的にハンガリー語のやり取りになるのですが、私たちにもわかりそうな単語を選んで話してくださったり、病室の他の患者さんがジェスチャーを駆使して伝えようとしてくれたり…

二週目に入院されていた女性の患者さんで、よく病棟内をリハビリがてら歩き回っていろんな患者さんとおしゃべりして仲良くなってる元気な方がいました。その方が扇子を持ち歩いていて。

ハンガリーで使ってる人を見たことが無かったので少し親近感というか東洋のアイテムだ!っていう感動があったんです。2,3日したときにふと見たらボロボロに壊れてしまっていて、私が「あの人に新しい扇子買ってあげたい…」とぼやいていたら、ちょうど同期が百均でお土産用に買ったのがあるっていうのでプレゼントしたんです。

とっても感謝して喜んでくれて。その方は病棟が移動になったので頻繁には会えませんでしたがお昼休みなどに病院内で見かけると挨拶する仲になりました。ほっこりです笑

他にも、私の同期の子がよく食事介助をしていたお目目くりくりのおばあちゃんがいたのですが、退院前に同期のほっぺにあいさつ代わりのキスしてくれたんです…泣いちゃいますよね何もできないし言葉も通じないのにちゃんと受け入れてくれて感謝まで伝えてくれて…。

振り返ってみて

正直、看護研修というよりハンガリー語研修という感じでした。というのも普段は英語コースにいるため、お買い物するときくらいしかハンガリー語使わないんですよね…なのでこんなにしっかりハンガリー語環境にいたのがはじめてだったんです。

なのでこれからハンガリーで研修受ける予定の人は半分くらいハンガリー語の短期留学のつもりで挑むともっと学びが多いと思います。私は二週目の途中にそれに気づいたのですが、最初から意識していたらもう少し話せることを増やせたかもな…と思いました。そうはいっても新しく単語や表現はかなり学べましたし、知ってる単語があると案外ぶわーって喋られても意味がとれたりする経験ができたのはよかったです!

また、これは私たちの病棟が恵まれていたがゆえの発見かもしれませんが、看護師さんは患者さんを甘やかせないんですよね立場的に。なのでどうせ大したことはできない我々にできることは、できるだけ患者さんと仲良くなって、なんでも頼んでもらいやすい関係値を築くことなのかな…と思いました。

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