ハンガリーの医学部1年生には二学期に必修の研修として看護研修があります。7月か8月を選んで1カ月間実際に病院で働く看護師さんについて看護業務を勉強します。今回私はハンガリーで研修を受けたのでその情報をお伝えします。
研修どこで受ける?
医学部の研修は、手続きをして受け入れてもらえれば基本的にはどこの国のどの病院でも研修を受けることが可能なので、日本で事務局が推薦してくれる大学病院で受けることもできます。また実家が病院だよという人は自分の家の病院で受けることもできるようです。
私は奨学金受給者なので、自分の在籍する大学の病院で研修を受ければ研修費用が免除になるんです!ありがたい!!
また、日本で受けるとしても実家からはどこも離れた場所なのでマンスリーマンションなどを契約する必要がある一方、ハンガリーでの家賃は1年区切りでどっちにしろ帰国している間も払わなければならないことから、経済的な理由でハンガリーで受けることにしました。
看護研修の内容
私は8月に事務局の同期の子たちと3人でNeurosurgery(脳神経外科)に応募をしました。自分の大学で受ける場合は1枚の書類をアップロードするだけで手続きは完了です。
何をするの?
基本的に、食事の準備、食事介助、血圧測定、おむつ替え、尿回収の繰り返しです。
そのほかには手術の見学や、注射、採血、患部の消毒、ベッドの移動も体験させてもらいました。
1日の流れ
私のお世話になった脳神経外科では、回診が終わった後の朝8時半に来るように言われていました。以下が1日の流れです。勤務なのか怪しいけれどほかの表現が思いつかなかったので出勤(?)にしてあります笑
- 8:30出勤(?)
挨拶をして控室に荷物を置きます
- 8:40朝食準備
看護師さんと一緒に朝ごはんを配ります。
- 9:00食事介助
寝たきりなど自分で食べられない患者さんにご飯を食べさせます。
- 10:00血圧測定
血圧計をもって病室を巡ります。
- 10:30待機時間
看護師さんが動くときについていって投薬や採血などを見学していました。
後半の時期はここでお昼休憩をもらっていました。 - 12:00昼食準備
お盆を運んで机やスプーンを準備します。ベッドを起こしたり患者さんが座るのを手伝います
- 12:15食事介助
寝たきりの患者さんにお昼ご飯を食べさせます。
- 片づけ
各病室からお盆を回収して蓋をしてワゴンにもどします。
- 13:00尿回収
尿道カテーテルの患者さんのたまった尿をバケツに回収してトイレに流します。
おむつ替えがあることもあります。 - 13:00退勤(?)
基本的に患者さんとのやりとりがハンガリー語なので、全然わからなくて困ることもたくさんありましたが、やることに慣れてくると使える単語や表現も増えてなんとか頑張って意思疎通をしていました。
患者さんの朝食
ハンガリーの病院の朝ごはんは複数個のパンにバター、ジャム、蜂蜜か、もう少し食べれる患者さんだとチーズやハムがついています。また飲み物も選べて、レモンティー、ストレートティー、コーヒー牛乳の3種類があります。ストレートティー以外は砂糖が入っていて甘いので糖尿病の方は一択です。
てか病院食でコーヒー牛乳ってどういうこと!?カフェイン大丈夫なの!?って思ったら看護師さんがコーヒー牛乳で薬飲ませてました(笑)カルチャーショックです…
余ったものを清掃員さんや看護師さんが飲んでいたので、私たちも飲んでみたのですが、レモンティーもコーヒー牛乳も市販のものを半分に薄めたくらいの味の薄さであまりおいしくはなかったので、一応考えられているみたいです。
また、寝たきりで動けない患者さんには食事介助としてパンをちぎって食べさせてあげます。
患者さんの昼食
12時ごろに昼食のワゴンが届きます。朝食よりはちゃんとしていて一人ひとりお盆にメインディッシュとスープと果物かヨーグルトがのっています。メインディッシュは病状によっても変わりますが、お米に魚がのっていたり、短いパスタがサワークリームで和えられているものだったりします。
スプーンやナイフは患者さん持参のものを使うので引き出しから用意してあげたり、自分で食べられる方でもベッドの傾きを変えたり、座るのを手伝ったり、机を用意したりします。食べられない方は朝と同じく食事介助です。慣れない頃はこぼしがちでしたが、スプーンは縦で、ちゃんと流し込む、などコツをつかんだ今はお手の物です笑
元気がなさそうに見える患者さんがしっかりご飯を食べてくれると安心するというか、嬉しかったです。昼ごはんが食べ終わるころになったら、お盆を回収してワゴンに片づけます。
お下のお世話
また尿道カテーテルが入ってる患者さんも少なくないので、だいたい昼食後の時間にバケツに尿を回収してトイレに流すこともします。たまにおむつ替えもあって、初めの頃は看護師さんのヘルプのような形でやっていましたが、終盤には自分たちだけでできるようになりました。おむつになったものの漏らしてしまった患者さんのシーツ替えなども自分たちでできます!なんか嬉しい経験値ゲットです。
最初から全く抵抗がなかったかと言われると怪しいですが病棟にはいたるところに消毒液とゴム手袋があるので、そのおかげで案外ためらう気持ちはありませんでした。
診療科によって全然違う
私たちは運よく、雰囲気が良くゆるめで、でもちゃんと研修はさせてもらえる環境で、1日4時間で最大3週間でしたが同期で他の科にいた子たちはかなり大変そうでした。
たとえば、7月に産婦人科(Obstetrics and Gynecology)で研修を受けた子は、1日だいたい4時間くらいでみっちり4週間。時間や期間に関しては厳しめの看護師さんだったみたいですが、お産に立ち会ったり、婦人科の問診をハンガリー語で教えてもらってやったりしたみたいです。やることがない待ち時間は座れる環境で待機だったそうです。
一方8月の同時期に外科(Surgery)や外傷科(Trauma)で研修を受けた子は、朝6時から午後2時までの6時間勤務で3週間でした。外科で研修していたブラジルの子は看護師さんがハンガリー語が喋れない外国人生徒にあたりが強かったみたいで、「目も合わせてくれないのに仕事はたくさんしなきゃいけなくて大変だ…お金払って労働させられてるからこんなの奴隷だよ…」と嘆いていました。
まとめ
まとめると…
- やることは難しくない
- 仕事量や環境は指導医や病棟の雰囲気によって全然違う
- ハンガリー語が大変
といった感じです。何もできずにただいるだけかなと覚悟していましたが、想定していたよりはやることも多く充実していたと思います。
これからハンガリーで看護研修を受ける方、どこで受けようか迷ってる方の参考になれば幸いです。
手術の見学など具体的な体験談はこちらの記事↓になります。
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